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先辈物语    
心でこころを伝える
  时间:2013-06-20       来源:admin      

こころ

 

 みなさん、日本のサービス業についてどう思いますかと聞かれたら、世界で一番評判がいいと答える人は少なくないでしょう。私もそう思います。例えば、メガネショップの店員さんはお客さんをお店の外まで送って出て、「ありがとうございました」と言いながら、深々とお辞儀をします。さらに、スーパーに行くと、お客さんの買い物の値段を一つずつ読み上げる店員さんがいます。中国ではそんなことは絶対に考えられないことです。

 私は日本に来て三ヵ月後、スーパーでレジのアルバイトをすることになりました。研修の時、「いらっしゃいませ」「ありがとうございます。またお越し下さいませ」と笑顔でお客さんにあいさつをするように、お店の人に教えられました。しかし、そのとおりにちゃんと言ったつまりでも、「笑顔がまだ足りない」とか、「アイコンタクトをしなさい」と、何回も店長に言われてしまいました。ああ、ダメか、面倒くさいなぁと心の中でぶつぶつと文句を言っていました。ちゃんとあいさつをしていたのに、何が足りないのでしょうか。まったくわかりませんでした。

 ある日、街を歩いていると、うどん屋さんの前でチラシとクーポンを配っている店員さんがいました。私が彼に近づくと、「よろしかったら、うちのクーポンをご利用いただけませんか」と親切に声をかけられました。受け取って行き過ぎようとしたとき、後ろから「お待ちしてますね」と店員さんの声が聞こえました。何か、その瞬間、その敬語と「ね」との組み合わせに心を打たれました。さりげない日本語の表現にすぎないのに、言わなくてもいいのに、なぜお客としての私をポカポカと暖かい気持ちにさせてくれたのでしょうか。

 私はこのことについてよく考えました。お客さんと目を合わせないで無表情で、念仏のようにあいさつをするのはかえって冷たく感じさせるのではないでしょうか。無表情なロボットのように冷たくて、ただ言葉を繰り返す店員は喜ばれるわけがないのです。ニコニコしながら、元気な声を出してお客さんと交流して、買い物の情報を丁寧に確認する店員が求められるでしょう。

 しかし、外国人の私には難しいことです。上手に日本語の敬語を使う自信がないのです。それに、うまく言えないので、読み上げをしたら、かなり時間がかかります。それで、お客さんを待たせるといけないので、店長に「いちいち読み上げをしなくてもいいですか」と聞いたら、店長はこう言いました。「日本語で上手く言えるかどうかは問題じゃないよ。大切なのはあなたがお客さんに対して本当に心を込めてサービスをしてあげているかどうかだ。『お客様との絆を大切にしております』という心を伝えなきゃいけないんだ。」

 店長の話を聞いて、私の接客態度に足りないものは心だということがわかってきました。あのうどん屋さんの店員が言ったごく普通の一言に、いろいろな気持ち、つまり心が入っていましたから、私は心を打たれたのです。確かに、言葉は人の考えや気持ちを表すものですが、それより重要なのは心です。心をこめないと、魂のないお人形さんのように、言葉の力を失ってしまうのです。

 バイトだけではなく、普段、周りの人といい関係を築くために、心も不可欠です。今、日本にいて、言葉と文化の違いによってコミュニケーションがうまくいかないと思っていましたが、今この考えは変わりました。同じ人間同士なので、心でこころを伝えたら、わかり合うことも難しくないでしょう。